ネットフリックスが何の会社なのか知っている人は1割未満

ネットフリックスとは



ネットフリックスは今や利用者1億2500万人を超える世界最大のVODサブスクリプションサービスだ。何とアメリカの通信料の1/3はネットフリックが占めているほど巨大なサービスである。

赤字に悩まされた創業時当初のネットフリックス


ネットフリックスはネット上でのDVDのレンタル・販売店として1998年に誕生した。


当時はネットで何かを販売するということ自体が珍しかった時代であり、ネット何かを販売している企業はアマゾンくらいであった。ネットフリックスはアマゾンとに対して参入障壁を作るために販売だけでなく、レンタルサービスに行うことにしたのだ。



当時はまだまだVHSが主流でアメリカ人全体の1%しかDVDを持っていなかったが、VHSを郵送するとなると重さによって送料が増加するため、ビジネスが成立しなくなってしまう。そのため、ネットフリックスはしぶしぶDVDに絞ってレンタル・販売をすることにしたのだ。



彼らは当初ともかく知名度がなかったため、DVDプレイヤーを製造している大手メーカーとタイアップし、購入者に初回のみ無料でDVDが3枚レンタルできるサービスを提供し、知名度を向上させようとした。


ネットフリックスのビジネスはDVDを在庫として抱えるというリスクがあり、さらにDVDという販売単価が安い商品を取り扱っていたため投資家からの評価が低く、資金調達にも苦しんでいた。



そんなネットフリックスにとっては知名度を上げて実績を残していくことが何より重要だったのだ。



無料レンタルの施策により、ネットフリックスへのアクセスは急速に増えたが、初回のみしかレンタルされず、その後の利用に結びつかず、赤字が続いた。



ネットDVDのレンタル店にも関わらず、当初は販売による売上が大半を占め、レンタルの売上は3%に過ぎなかった。この時はまだ本ではなくDVDを売っているアマゾンという状況だったのだ。



当時はアマゾンもまだ書籍しか売っていないという状況であったが、ECとしての規模は圧倒的にアマゾンの方が大きかった。



同時期にアマゾンはネット書店という立ち位置からの脱却し、総合的なECストアになろうとしていた。そして書籍だけでなく、音楽やビデオという領域に関してもラインナップ拡大しようとしていたのである。そのような状況でちょうどネットフリックスがアマゾンの目に留まり、買収の提案があったのだ。



赤字続きであったネットフリックスは迷いはしたが、ネットフリックスは提案を断り、アマゾンがいずれDVD販売に進出すると見込んで、主力の販売事業を捨て、売上の3%しかないレンタル事業のみに専念したのである。



その後もネットフリックスは泣かず飛ばずであったが、ある日、購入方法の選択肢を増やすことを検討しだした。



そうそれが、月額課金のサブスクリプションだ。ここ数年で騒がれたサブスクリプションをネットフリックスは1999年に行っていたのだ。



このサブスクリプションサービスにより売上は大幅に拡大した。しかし、一か月無料特典を付けていたこともあり、DVDの購入費を回収できず、依然として赤字が続いていた。



さらにいえば、売上が拡大したといっても当時のネットフリックスの売上は5億円しかなかったのである。



当時店舗でビデオ・DVDを貸し出しを行っていたブロックバスターの売上は4500億円もあったのだ。ネットフリックスはブロックバスターがいつオンラインのDVDレンタル事業に乗り出してくるか分からず、常におびえている状態であった。



赤字体質であり、ブロックバスターの参入も警戒していたネットフリックスはブロックバスターにパートナーシップ契約を持ちかけたが、弱小企業扱いされ取り合ってもらえなかった。



2000年にはITバブルがはじけ、投資家たちがIT業界を警戒したことで7500万ドルの資金調達の話も無くなってしまった。


運と戦略により拡大したネットフリックス


倒産寸前だったネットフリックスは仕方なく、100人しかいない従業員の4割を解雇し、人員削減を図った。



しかし、驚くべきことにコストカットの為に行った人員削減により残った社員の生産性が猛烈に上がったのだ。



この時、ネットフリックスは社員の能力ではなく、やる気、人柄を重視してリストラを行った。当然、能力のある社員を残し、能力のない社員を解雇したのだが、問題となるのは中間層の社員だ。



この層の社員をどういう基準でリストラするかということが重要なのだが、この際ネットフリックスは中間層に関しては能力が高くてもやる気が感じられない社員、また能力があってもチームの雰囲気を乱すような社員をリストラすることに決めたのだ。



これにより、残った社員はやる気に満ちており、それまでに無いほど会社全体の雰囲気が良くなり生産性が上がったのだ。



また、社員達のやる気を維持するためにネットフリックスは休暇の制限と経費の制限を取りやめた。



ネットフリックスは自分たちの基準において本当に優秀な社員のみを残し、採用も厳選するようになったが、本当に優秀な社員というのは常に条件がいいところに流れて行ってしまうのだ。



そこで、ネットフリックスは休暇を自由にいくらでも取れる、経費をいくらでも使えるという破格の福利厚生を社員に提供したのである。



本当に優秀な社員のみが存在するネットフリックスではこうした制度悪用する社員はほとんど居なかったのだ。ごく少数ではあったが、制度を悪用して経費をごまかすような社員はどんなに優秀でも即解雇することで社内の秩序を保っていた。



人員削減の数か月後にはあのプレイステーション2が発売された。プレイステーション2は専用ゲームだけでなく、DVDの再生が可能だったこともあり、これまでDVDに興味を持っていなかった人達へのリーチが容易になったのだ。



これによりDVDの需要が急上昇し、ネットフリックスの登録者数が爆発的に増加した。



ネットフリックスは、プレイステーション2バブルの最中に翌日配送を保証することで、利便性を図り、増加した会員のハートをがっちりとつかんだのである。



翌日配送保証はレンタルしたユーザーから次にレンタルするユーザーへ直接DVDを送付してもらうことで、一度倉庫に戻すという手間を排除したこにより実現可能となったものだ。



また、シネマッチという仕組みを導入したこともサービスレベルの向上につながった言われている。



ネットフリックスが理想としていたのは店員がユーザー一人一人に親身になっておすすめのDVDを提案することだ。



シネマッチはDVDの評価やコメント、ユーザーの履歴からシステム的におすすめを提案するというものだった。



いまでこそお勧め機能というものはシステマチックに感じるが、当時はまるで人間が提案してくれているかのような暖かみがあったという。



こうした施策もあり、従業員を解雇した数か月後には会員数が100万になっていた。



ネットフリックスは会員の獲得により収益を伸ばしながら費用の削減も並行して行っていた。



管理しているDVDはほとんどの場合、ユーザーの手元にあるの状態だったので、DVDを倉庫という場所ではなく、現在どこにあるのかという情報によって管理するようになったのだ。



こうして収益の増加と費用の削減を両立することでネットフリックスは赤字体質を脱却したのである。



2002年にはナスダックに上場し、2007年には動画配信のストリーミングサービスを開始した。その時には既に最大手のケーブルテレビと同じ規模のユーザー数となっていた。



ストリーミングサービスを始めたとは言え、放映権さえ買い占めれば模倣可能なビジネスであったため、更なる参入障壁を作るためネットフリックスは2011年よりオリジナルコンテンツを配信し始めた。



当初オリジナルコンテンツは外部の制作会社に依頼して納品してもらう形式を取っていた。



制作会社に依頼はしていたものの、ネットフリックスは視聴者の膨大なデータを持っていたため、視聴者がこんな作品を求めているのではないかというあたりがついていたのだ。



蓄積された視聴者データを使えばさらに面白いデータを作れると確信していたネットフリックスは社内にスタジオを作り、自社制作を行うようになったのである。



このネットフリックスの活躍の裏側で2000年当時は圧倒的な地位を保持していたブロックバスターは2004年よりネットDVDレンタル事業に参入したが、2010年に経営破綻してしまった。



ネットフリックスと比べて大企業体質となっていたブロックバスターは新規の事業を今ロールできず右も左も分からぬまま自滅していったのだ。

ネットフリックスの差別化戦略


1.コンテンツのイッキ見


一般的なドラマに関しては1話放送時点では最終話の撮影が終わっておらず、作品を作りながら視聴者に提供していくというのが一般的である。



これに対してネットフリックはあらかじめ最終話までドラマが完成してから1話から最終話までを一挙公開するのである。



これは従来のドラマのように視聴率等の指標をもとにドラマ自体を調整するということは出来ないが、ユーザーがよりドラマにのめりこみやすくなるという特徴がある。



現在では1シーズンを24時間以内に見切ってしまう人が世界で840万人以上いるのである。

2.全世界一斉公開


一般的に海外ドラマは日本で放送されるまでに数か月を要するが、ネットフリックスのドラマは全世界で一斉公開される。これは前述したようにあらかじめコンテンツが完成してから放映するという手法の恩恵である。

3.お勧め機能



DVDレンタル時代から培ってきたお勧め機能はもはやYoutubeにも並ぶほどのレベルになっている。

検索履歴、視聴時間、一時停止箇所、巻き戻し箇所、視聴日時、ページの閲覧、クリック率、スクロールスピードまですべてを分析したうえでレコメンドを行っているのである。

さらに凄いのはユーザーの好みに合わせて同じコンテンツでもサムネイルを変更して表示するのである。例えばユーザーが好きな俳優が映画に出演している場合はその俳優を前面に押し出したサムネイルを自動的に表示する等の工夫がなされているのだ。

この高い分析の成果もあり、ネットフリックスで視聴されるコンテンツの80%はこのおすすめ機能を元に視聴されているのだ。


4.オリジナルコンテンツのコストが半端ない


ネットフリックスのオリジナルコンテンツの制作費は年間約2兆円となっている。これはとてつもない金額だ。参考までに言うがテレビ東京の製作費は年間400億円だ。実にその差50倍である。

VODはコンテンツの放映権を購入して放送しているだけのため参入しやすいだろうと思われがちだが、トヨタの純利益と同じレベルでオリジナルコンテンツを制作されては手も足も出ない。

さらに動画広告をしていないためテレビ局のようにスポンサーの意向という制約にも縛られずただただいいものを作るということが可能なのだ。



これはもはや超えることのできない参入障壁である。ネットフリックスはもはや世界一のVODというだけでなく、世界一の制作会社なのだ。

ネットフリックスの今後



しかしそんなネットフリックスの登録者数も現在は鈍化傾向にある。その一因はディズニーが撤退したためだ。

ディズニーは独自のストリーミングサービスを開始しており、huluやFOXの買収も初めており、ネットフリックスを倒そうとしている。

また、先ほど長所としてネットフリックスは動画広告をしておらず、スポンサーの意向に縛られないといったが動画広告をしていないということはその分の収益が得られていないということだ。その額は20兆円とも言われている。

この20兆円を獲得できればスポンサーの制約はあるとしてもネットフリックスはさらにコンテンツを充実させることができるはずだ。



現状でもネットフリックスがディズニーに負けることは無いと思うが、動画広告への進出により更にコンテンツを充実されていくのではないだろうか。


今後のネットフリックスの動きにも注目である。



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